建築基準法の改正によるリノベや太陽光パネル設置への影響

9月に入っても暑い日が続いています。
エアコンが手放せず電気代が気になっている方も多いと思います。
そんな中、太陽光パネルを屋根にのせて、光熱費を抑えたいとお考えの方
また大規模なリフォームやリノベーションを検討されている方
ちょっと注意が必要です。

2025年4月に建築基準法が改正されます。
その中で耐震性能に関わる基準がこれまでと少し変わります。
一部を簡単にご説明します。

法改正により耐震性の計算が変わる

家を建てる時に地震に耐えられるように、壁の量(長さ)を計算し、
バランスよく配置していきます。
その計算に使われる壁量の根拠となる数値(壁量係数)が変わるのです。

これまでは重い屋根(瓦)と軽い屋根(金属等)の2種類でした。

屋根の種類 2種類


重い屋根の方が地震に対して不利になるので、数値が大きく、壁の量が増えることになります。

では法改正でどうなるのか

屋根の種類 3種類 + 外壁の種類 5種類 + 太陽光パネルの有無

大まかだったものがより細かく分類できるようになります。
屋根だけでなく外壁も重いもの(モルタル等)と軽いもの(サイディング等)とで違いがあるわけでそこも考慮されるようになりました。

そして特に太陽光パネルの有無です。
パネル自体の重さが加わる分、家が重くなるので地震に対しては不利になります。
そこが明確に数値として明らかになったので、しっかりと対策ができるようになります。

具体的にどう違う?

太陽光パネルの有無で、実際壁量にどのくらい差があるのか
仮に総2階の家(1階と2階の面積が同じ家)で考えると

1階・2階共に係数に約3㎝/㎡の差があります。

1階の床面積が50㎡だと50×3で150センチ増えることになります。
筋交いの壁に換算すると91センチの壁が各階1ヶ所増える計算です。

どんな注意が必要?

法改正による耐震基準の見直しで注意が必要なケースについてお伝えします。

新築後に太陽光パネルを載せる場合

新築時は予算の関係であきらめたが、数年後に太陽光パネルを載せようすると注意が必要です。
新築時は太陽光パネルなしで計算をしていた家に太陽光パネルを載せると壁量が増えるので、場合によっては必要な耐震基準を満たしていない状態になる恐れがあります。
もし将来太陽光パネルを載せる可能性がある方は、太陽光パネルありの数値で計算をしてもらうようにしましょう。

リフォームで太陽光パネルを載せる場合

古いお宅で、太陽光パネルを載せる場合は構造的な検討を最初にしましょう。
例え担当者が大丈夫ですと言っても、経験だけでは根拠になりません。

法改正で数値が明らかになっているので、壁量が足りているのかきちんと検討した上で工事を依頼してください。

すでに太陽光パネルを載せているけど大丈夫?

今回の法改正はあくまでもこれから家を建てたり、大規模なリフォームをされる場合に影響します。

建築基準法は変わっていきますので、最新の基準に合ってないからといって違法建築というわけではありません。

国が求める性能は災害の経験や環境の変化によってその都度改められています。

当時の基準には満たしているが、今の基準には足りていないというのは家が古くなればなるほど起こりえます。心配な方は耐震診断を受けるなど、まずは現状を把握することから始められてください。

大規模なリフォームやリノベーションをする場合

法改正では確認申請が必要な建物の範囲が増え、大規模なリフォームやリノベーションも場合によっては確認申請の対象となります。その場合は耐震基準も新しいものに合わせなければなりません。

法改正では耐震性能自体が厳しくなっています。(これまでの1.2~1.5倍)

なので太陽光パネルの有無の差に加え、新基準の耐震性能として壁の量をかなり増やさなければならなくなります。また新築時に確認申請を出してなかったり、完了検査を受けていない場合は、リフォームで新たに確認申請を出すことがかなり難しくなりますので、中古住宅を購入してリノベーションを検討されている方は注意が必要です。

まとめ

法改正により地震に対して太陽光パネルをのせても大丈夫かどうかの一つの指標できました。
今後は必要な壁を増やせば、安全ですと根拠を持って言えるようになります。

一方で基準の見直しで重い屋根と重い外壁の家の場合は特にこれまでより厳しい基準となるので、耐震性能を踏まえた材料選びも重要になります。

また大規模なリノベーションも場合によっては難しくなりそうです。

色々条件はありますので、検討されている方はぜひご相談ください。

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