心地良い家のつくり方

家を考える時、だれもが心地良い家に住みたいと思っているはずです。
ですが居心地というのはあいまいで言葉で説明するのは難しい・・・。
家の設計をプロに依頼しようとした時に部屋の広さやイメージは伝えられても
心地良い空間とはいったい?居心地の良さいうものは具体的に何なのだろう。

実は心地良いと感じる家にはいくつかポイントがあります。
わたしたちが設計する上で大切にしていることでもありますが、
ぜひあなたの家づくりの参考にしてみてください。

1.光と風と風景、自然の恵み

窓を開けると心地良い風とともに木や花の香り、土のにおいがします。小さくてもいいので、ぜひ木や植物を植えた庭をつくりましょう。
自然の力や四季の移ろいが楽しめ、生活にやすらぎとうるおいを与えてくれます。

さらにその庭に向かってウッドデッキをつくると室内の延長感覚で気軽に外に出られます。季節の良い時期は外で食事をするのも良いものです。

また外とつながることで家の中にいながら、気分をのびやかにしてくれ無意識に広さを感じることにもなります。
自然の美しさを家の中に取り込むことが豊かな暮らしにつながるのです。

庭に実のなる植物を育てるのもおすすめです。毎年の収穫が家族のイベントになります。

2.ワンルームのような家

家全体を大きなワンルームと考え、その中に家族それぞれの居場所があるという感覚です。
広い空間に個室をたくさんつくっていくのではなく、
ある時は広く使い、ある時は仕切って使うといった柔軟性、
そして家中を空気が流れつながっていることが大切です。

昔ながらの日本家屋を想像してみてください。部屋と部屋がふすまや障子でつながっていて、閉めると個室に、開けると広々と使えるようになっています。暮らしに合わせて調整ができるという昔の人の知恵です。さらに戸を閉めていても欄間は開いてて風は通るといった工夫もなされていました。

ではなぜワンルームのような家が心地良い家につながるかというと

最近特に工事費や材料の高騰もあり、小さな家が求められています。するとそれぞれの部屋も狭くなってしまうのですが、ワンルームのような家にすると視線が抜ける場所があったり、戸を開けて部屋通しをつなげることで、窮屈に思わず広く感じさせることができます。

家の中で部屋を細かく仕切って、さらに廊下をつくると、部屋通しの空気は混ざりにくくなります。そんな状態で部屋を冷暖房すると廊下と温度差ができてしまい、不快に感じやすくなります。
風がうまく抜けるような間取りや部屋の戸を閉めていても空気が流れる工夫をして空気のよどみをなるべくなくすことが大切です。
温度差を小さくすることでヒートショックによる体への負担を減らし、健康につながります。

家族の気配が伝わりやすい家ではお互いの距離が近く感じられ、安心感につながります。穏やかな状態で自然と会話が生まれるのです。ただしプライバシーは守らなければいけません。オープンでも気にならない人もいれば、見られると嫌な人もいます。家族それぞれのタイプをしっかりと把握しておきましょう。

3.好きなものに囲まれた暮らし

人間の感覚の中で特に視覚から得られる情報は約8割と言われています。つまり自分が感じている感情というのはほとんどが目に見えるものが影響していることになります。

自分の好みやスタイルというものは人それぞれ持っていると思います。

好きなものに囲まれた、美しいものを眺めながら普段を過ごせればきっと心地良いと感じる暮らしができるはずです。

「美は細部に宿る」有名な建築家のことばですが、細かい部分にもこだわりを持つことでその積み重ねが美しい空間をつくり上げるのだと思います。取っ手やコンセント一つにしても自分のスタイルにあったものを選ぶことで、家全体が統一された美しいものになるのです。

4.家族ひとりひとりの居場所をつくる

家の間取りを考える時、子供部屋を最優先に考え、自分たち夫婦の部屋は後回しにしてしまう傾向があります。子供部屋は人数分きちんとあるのにお父さん・お母さんの部屋は寝室1部屋だけというのはよくある間取りです。

昔はやってたけど時間がなくてあきらめていること、
ずっとやってみたいとひそかに思っていたこと
ぜひ自分の世界に浸れる場所をつくりましょう。
それは必ずしも個室である必要はありません。リビングの一角・寝室の一部でも構いません。
他人に干渉されない自分だけのテリトリーをつくることが重要です。

それとやりたいことは変わります。なので最初に作りこまないことも大事です。
住む人が自由にアレンジできる余白を考えておきましょう。

5.手入れが楽しくなる天然素材の家づくり

無垢のフローリングや塗り壁など天然の素材をなるべく使いたいと考えています。

その理由は、モノというのは時間の経過とともに古くはなりますが、天然素材は古さが嫌な感じではなく、むしろ味わいがあって愛着を感じられるからです。

手入れのいらない傷がつかないなどが売りの材料があります。最近は技術が進化して、本物と見間違うようなものも出てきてます。
でもそれらは新築時が一番きれいで、古くなっても味わいにはなりません。

手入れをすることは面倒と感じるかもしれませんが、掃除と同じできれいになると気持ちが良いものです。
交換するのではなく自分で手入れができる素材を選ぶこと、
永く大切に使っていきたいと思えるスローライフな家が心地良い家なのだと思います。

まとめ

5つのポイントを紹介しましたが、心地良さというものが少しは具体的になったでしょうか?
感じ方は人それぞれなので必ずしもすべての人に当てはまるわけではありませんが、
自然の気持ち良さや自分のテリトリーを持つことなどは
人間の本能的に共通しているんじゃないかと思います。
生活していると嫌なことや大変なことがたくさんあります。
忙しい毎日の中でもふ~っとリラックスできて、気持ちよく暮らせる家をつくるために
わずかでも参考になれば幸いです。

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