一戸建て注文住宅の土地の探し方

家づくりを始める時、まずは土地を探さなくてはなりません。

でも何から始めれば良いか迷われる方もいらっしゃると思います。
土地情報が掲載されているサイトを見ても
専門用語が並んでいたり、どこに注意したら良いのか分からないなど
自分たちの希望する暮らしが果たしてできるのかを判断するのは難しいと思います。

そこで土地探しの手順や注意する点などをまとめました。
これから家づくりをお考えの方はぜひ参考にされてください。

目次


土地を探す前に条件を整理しよう

ただ闇雲に探しても大量の情報の中から希望の土地を見つけるのは大変です。
まずは条件を整理することから始めましょう。

通勤・通学の距離や時間、公共交通機関の利便性

希望するエリアを絞る上で通勤・通学は優先順位の高い条件です。
住み慣れた生活圏に絞って探すのも一つの方法ですが、
もう少し広い範囲で探そうとお考えなら、会社までの通勤時間がまずは目安になります。
公共交通機関を利用するなら駅やバス停までの距離や乗り換え含めた利用のしやすさを確認します。

お子様がいる家庭は通学距離をチェックしましょう。
中学生や高校生でしたらある程度距離があっても何とかなるでしょうが、小学生だとあまりに距離があると心配になることでしょう。まずは1キロ圏内など仮に決めておきましょう。

スーパーや病院など生活に必要なお店の状況

車があれば近くにお店がなくても支障はありませんが、将来車を手放した時のことも考えておかなくてはなりません。徒歩圏内に食料品店があると便利です。また生活する上で通院もあります。小さなお子様がいる家庭は特に小児科の位置を確認しておくと安心です。

土地の広さはどのくらい必要

土地には地域ごとに家を建てられる面積の限度が決まっています。
建蔽率(けんぺいりつ)」と「容積率(ようせきりつ)」の2種類があります。
簡単に説明すると
建蔽率は土地の面積に対して1階の面積の割合
例)50%の場合、土地の面積が100坪なら1階の面積が50坪まで
容積率は土地の面積に対してすべての階の面積の割合
例)80%の場合、土地の面積が100坪なら1・2階合計で80坪まで

土地情報を見るとこれらの割合が載っています。
住宅地だと建蔽率50%、容積率80%が多いのでこの割合で考えてみましょう。

平屋の場合

建蔽率50% 家の面積を30坪とすると
30÷0.5=60

土地の広さは最低60坪必要となります。

2階建ての場合

建蔽率50% 家の面積を1階15坪とすると
15÷0.5=30

容積率80% 家の面積を1階15坪、2階15坪(合計30坪)とすると
30÷0.8=37.5

30<37.5なので土地の広さは最低37.5坪必要となります。

ここで注意することがあります。
カーポートのように駐車場や駐輪場に屋根をつける場合、建蔽率の対象になります。
家の面積に車1台分なら4坪、2台分なら8坪ほど足して計算をしましょう。
ちなみに容積率にはカーポートの面積は足さなくて大丈夫です。

自分たちに必要な家の広さや庭・駐車場などのスペースを考え、土地の広さの目安を決めてください。

㎡と坪について

1坪は約3.3㎡です。つまり坪数×3.3で㎡数になります。
1坪は畳2畳分の広さです。

土地かけられる費用はいくら

最後に肝心な金額です。
総予算から建物費用・設計料・諸費用・外構費用などを除いた残りとなります。
さらに古い家があれば解体費用、お隣や道路と段差があれば擁壁の費用が必要となってきます。
土地の状況によって費用が異なるため、念頭に置いて探していきましょう。


土地情報の見方

では実際に土地情報を見ていく時に見るべきポイントや専門用語の解説をしていきます。

地目
家が建てられるのは宅地・山林・原野・雑種地です。その他、田と畑は農地転用許可申請を行えば宅地に変更できます。

都市計画
市街化区域と市街化調整区域があります。市街化調整区域の中には家が建てられない場合があるので確認が必要です。

接道状況
道路の幅と接している長さが記載しています。道路が4m以下だとセットバックといって、土地の一部を道路にしなければなりません。また道路と土地が接している長さが最低2m必要なため、2m未満の場合は家を建てられない土地となります。

現況と条件等
現況に更地とあれば土地に建物が何もない状態です。古家ありとあれば家が残っています。条件で現況渡しとあれば解体費用は購入者の負担となり、解体渡しとか更地渡しとあれば土地代に含まれていることになります。

その他
再建築不可や資材置き場に最適という言葉があれば基本的には家が建てられない土地と考えてください。


土地のカタチで変わる家づくり

土地情報を見ていく中で、知っておきたいポイントがあります。
近年の土地価格の高騰により元々1軒の広い土地を分割して販売しているような土地を良く見かけます。最低限の広さの土地で家を建てようとする場合は特に土地のカタチが家づくりに大きく影響します。土地の形状はもちろん方位や道路の位置などで建物にどんな影響があるか説明していきます。

道路の位置で何が変わる?

土地に必ず一ヵ所は面している道路は車や人が往来する公共の場です。方位によって特徴があるのでまとめてみました。

南道路

南側に駐車場・アプローチ・庭のスペースとなるため、家は北側に寄せて配置されます。道路の反対側のお向かいの家との距離が大きく取れるため日当たりの良い範囲が最も広い条件となります。

ただし室内から考えると南側に大きな窓を付けると道路からの視線が気になり、カーテンを閉めっぱなしという状況になりがちです。

塀をつけたり、目隠しの対策をしておかないと、日当たりが良いのに部屋が暗い家になってしまいます。

北道路

北側にアプローチと駐車場、南側に庭という使い方になります。
南側の庭は道路に面していないためプライバシーを守りやすく、カーテンを開けていても気にせず過ごせます。

ただし土地の南側の隣家が近かったり、2階建てだと日影になり暗い庭になってしまいます。隣家と適度な距離を開けて日当たりを確保できるかがポイントになります。

東西道路

道路側に駐車場とアプローチ、南側に庭という使い方になります。東道路だと朝日が西道路だと西日が射しやすい状況となります。

室内への日当たりを考えると建物は横長となり、南側の庭の奥行きが十分に取れるかがポイントになります。
南側・北側道路の場合に比べ、南側の隣家との距離が近くなってしまう可能性が高いので注意が必要です。

隣家の状況や敷地の長さ・広さにより、必ずあてはまる訳ではありません。また家を設計する人はもちろん周知のことですので、いろんな解決策を持っています。あくまでも傾向として押さえておくと、自分たちの理想の家や暮らしがどのタイプだと実現できるかイメージしやすくなると思います。

整形地と変形地とは?

整形地とは正方形や長方形のきれいな四角い土地のことで、逆に変形地は三角形や台形など90度ではない角がある土地のことです。それぞれ特徴があります。

整形地

家のカタチが四角なので土地を無駄なくきっちり使えることが特徴です。つまり間取りがつくりやすい土地ということです。

ただし一般的に両隣も同じ四角い土地であるため、隣との距離が近くなり、窓の位置や換気扇の位置などが重ならないように注意が必要です。

変形地

三角の土地に四角い家はきれいにはまらないので、家のカタチが凸凹になったり、三角にしたりと、間取りをつくる難易度が高くなります。ただし、変形したカタチを上手く取り入れることで面白い建物になります。また三角の土地に四角い建物を配置すると、三角のスペースができることになります。
そこに木を植えて緑のスペースをつくると奥行のある庭ができます。ただの通路として家の周囲にあるスペースよりも庭として楽しめるスペースができるため、変形地は土地を無駄なく有効活用できる可能性があります。

旗竿地とは?

道路から通路を通って奥が広くなっているような土地のことです。通路部分が自分の土地の場合と複数の家で共有の場合とがあります。道路から離れているため、車や通りを歩く人の目を気にせず暮らすことができます。

しかし四方を家で囲まれている状況だと、日当たりや風通しが悪く環境としてはあまり好ましくありません。また通路部分が狭い場合は車を停めると人が通りづらくなるなど不便な場合があるので、通路の幅は重要です。車を奥まで入れるか、通路に駐車するならば最低3mはほしいところです。


おすすめしない土地

土地を探していると相場より安く出ている土地を見かけます。ほとんどが悪条件により家を建てることが難しかったり、解決するために費用がかかるような場合が多いです。おすすめしない土地の一部を紹介し、その理由も解説していきます。

道路より下がっている土地

道路よりも家を建てる地盤が下がっている場合です。道路から階段を下りて玄関にたどり着くような状態です。問題が二つあります。

1つ目は車が入らないことです。住む人の駐車場はもちろん、工事中も資材の運搬が大変だったり職人さんがコインパーキングを利用しないといけないなど、追加の費用が掛かってしまいます。
2つ目は排水の問題です。通常は道路に向かって汚水や雨水を排水します。しかし、道路の方が高いため流れません。古い家があった場合はその土地よりも低い道路に向かって排水されているはずです。お隣さんの地面の下を通っている場合もあり、注意が必要です。

堀車庫が付いている土地

道路より家を建てる地盤が高くなっている場合に、その高低差を利用して車庫をつくっているケースが良くあります。しかし図面や記録が残っていない場合は車庫の安全性が不明です。屋根があれば建物とみなされるので建築確認申請の対象で許可が必要なものです。家を建てる場合は取り除かなければならない可能性が高いため、解体費用と崩れないようにするための擁壁の工事が発生してしまいます。

2mを超える擁壁がある土地

擁壁には石積みやブロック積みやコンクリート製など種類があります。2mを超える擁壁をつくる場合、工作物申請というものが必要でその記録があれば安全性が高い擁壁となります。記録がない場合は将来地震などで崩れる可能性があるため、擁壁に負担を掛けないように地面に杭を打って家を支える必要があります。特に石積みやブロック積みは裏側に空洞ができやすく、隙間に草が生えたりするのでメンテナンスや将来大掛かりな補修作業が必要になる場合があります。そういったリスクがあることを考えた上で選びましょう。

3つほどおすすめしない土地を紹介しましたが、必ずしも家が建てられない訳ではありません。リスクはありますがそういった土地だからこその魅力があることもあります。何か気に入ったポイントがあれば一度建築士に相談してみましょう。


気に入った土地が見つかったら

気になる土地があればまずは航空写真やストリートビューを活用して、周りの状況を確認しましょう。そして良さそうであればすぐに見に行くことをおすすめします。不動産屋さんに問い合わせをすると土地の情報や測量図がもらえるので建築士に相談してください。良い物件は競争相手も多いためスピードが大切です。積極的に動きましょう。

まとめ

土地を探す上での条件の整理から土地情報の見方。そして土地のカタチによる違いとおすすめしない土地の特徴を説明しました。人気のエリアなどは土地の情報が少なく、小まめにチェックすることが大切です。また見つけた土地に対してアドバイスをもらえる建築士を事前に見つけておくことも大切です。土地探しは半年から1年かかることもあります。時間の余裕を持って探し始めましょう。

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