
家を建てようと思ったとき、いったいいくらかかるのか?みなさん気になると思います。わかりやすい目安として「坪単価」という言葉を聞いたことがあると思います。家の面積(坪数)をかけることで家の金額が分かります。ただし、この坪単価には少し注意が必要です。詳しく解説します。
注文住宅にかかる費用
まずは家にかかる費用からご説明します。
・建築工事費 家本体にかかる費用
・付帯工事費 庭や駐車場といった外構・隣地との段差の処理や地盤に関わる費用
・設計料 家の設計と監理にかかる費用
・諸費用 住宅ローンの手数料や税金・火災保険・引っ越し費用など
おおまかに分けるとこのような項目に分かれます。ハウスメーカーや工務店に直接依頼した場合は設計料は経費として建築工事に組み込まれていることがあります。総額を100%とすれば建築工事費にかけらる費用はおよそ60~70%となります。
建築工事費の内訳
建築工事費の内容の一例をご紹介します。
仮設工事 | 仮設トイレや水道電気、足場や廃材処分費など |
基礎工事 | 基礎をつくるための鉄筋やコンクリート工事 |
木工事 | 柱などの構造体から床などの木材関係の工事 |
屋根工事 | 瓦や金属など屋根に関する工事 |
左官タイル工事 | 塗り壁やタイルに関する工事 |
鋼製建具工事 | アルミサッシなどの窓の工事 |
木製建具工事 | 木製の扉や窓の工事 |
ガラス工事 | 窓や内部のドアのガラス工事 |
塗装工事 | 木材や壁・天井など保護材・仕上げ材の塗装工事 |
内装工事 | 壁紙や畳などの工事 |
家具工事 | 造作家具の工事 |
住宅設備機器工事 | トイレ・洗面・お風呂など設備機器の工事 |
電気工事 | 照明やスイッチ・コンセントなどの工事 |
給排水衛生設備工事 | 水・お湯・排水の配管工事 |
諸経費 | 工務店の経費や現場管理費 |
これを見るといかにたくさんの職人さんが家づくりに関わっているかが分かります。
付帯工事について
付帯工事は土地の形状や広さによって様々です。また建築工事費に含まれることもあります。主なものとしては
擁壁工事 | 隣地と段差がある場合、土を留める仕切りをつくる工事 |
地盤改良工事 | 地盤が弱い場合に土に混ぜたり、杭を打ったりして強くする工事 |
外構工事 | 駐車場や庭木・フェンスなどの工事 |
引込み工事 | 水道や排水管を道路の本管と接続する工事 |
解体工事 | 既存の建物がある場合、壊して取り除く工事 |
分譲住宅地や建て替えだと付帯工事は少ないですが、高低差がある土地や広い土地だと家以外にかかる費用も増えてきます。地盤についても調査しないと分からないため、事前に調べておく必要があります。
設計料について
設計事務所に依頼する場合は工事費とは別に設計料がかかります。前述したとおりハウスメーカーや工務店に直接依頼した場合は経費に含まれることになります。
基本設計 | 土地の状況を調べ、お客様のご要望をまとめ間取りや建物の形を提案する作業 |
実施設計 | 基本設計を元に工事や見積もりをするためのより詳しい図面を作成する作業 |
確認申請業務 | 建築基準法が守られているか第三者機関に申請する業務 |
現場監理業務 | 図面通りに工事がされているかのチェックを行う業務 |
建築士による主な作業内容です。
諸費用について
お客様により種類や金額は様々ですが、一般的なものを紹介します。
住宅ローン借り入れ費用 | 銀行から資金を借りる場合に払う手数料や保証料 |
つなぎ資金費用 | 工事着手金や中間金を支払うための利息負担費用 |
火災保険 | 住宅ローンの借り入れの際、加入が条件となっていることがあります。 |
確認申請手数料 | 確認申請に関する各種手数料 |
登記費用 | 土地や建物を登記するのに必要な司法書士に支払う費用 |
印紙代 | 請負契約を結ぶ際、契約書に貼る税金 |
不動産取得税 | マイホームを取得した場合に課税される税金 |
家具家電費用 | 引っ越し後新たに買い替える家具や家電の費用 |
カーテンなどの費用 | 窓につけるカーテンやロールスクリーンなどにかかる費用 |
引っ越し費用 | 前の家から新居に引っ越すための費用 |
地鎮祭・上棟式の費用 | 神社に支払う初穂料やお供え物・場合によっては上棟式のお弁当代や祝儀代など |
住宅ローンに関する費用は借入予定の銀行に詳しく確認されてください。上棟式は地域性や信仰により差があり、餅まきをする方もいれば、何もされない方もいらっしゃいます。
住宅の工事費の全国平均
2020年の工事届による住宅の統計を見ると(新築・持ち家・一戸建て・木造の場合)
戸数 (戸) | 一戸あたり面積 (㎡) | 一戸あたり工事費 (万円) | 1㎡あたり工事費 (万円) | |
全国 | 216491 | 116.82 | 2167 | 19 |
福岡 | 7831 | 117.04 | 2134 | 18 |
一戸あたりの面積の平均は約35坪、坪単価は60~62万円となります。
表の中の面積とは建築基準法の延べ面積のことで実際の床の面積より若干多いことがあります。また工事費は工事契約の金額であることが多いため、外構や付帯工事が含まれている場合とそうでない場合があります。
坪単価とは
坪単価とは工事金額を床の面積(広さ)で割った値のことです。坪というのは広さをあらわす単位で1坪=1.82m×1.82m=3.3㎡(畳2枚分)となります。3000万円で30坪の家なら坪単価は100万円となります。大手メーカーなどは同じような家をたくさんつくることでより正確な坪単価を出すことができます。つまり希望する面積から工事金額を把握出来たり、希望する予算から家の面積を割り出すことができるのです。逆に設計事務所の家づくりの場合はお客様に合わせて形や仕様を変えることが多いため、坪単価を正確に表すことが難しくなります。
坪単価にはどこまで含まれているか
坪単価○○万円と聞き、安いからとすぐに飛びついてはいけません。含まれていない工事と対象の面積を確認しなければなりません。
まず含まれていない工事とは外構工事はもちろんですが、配管工事や電気工事が別になっている場合があります。
次に対象の面積とは床面積なのか施工床面積なのかです。床面積とは壁に囲まれた床の面積のことで、玄関やリビング・階段などの面積の合計です。それに比べ施工床面積とは吹き抜けやバルコニーなど工事をする場所すべてを含めた面積になります。同じ金額なら施工床面積の方が広くなるので坪単価は安くなります。注文住宅は想定する坪数×坪単価だけとは限りませんので、注意が必要です。
予算の決め方
ではどうやって予算を決めればいいのか。まずは総予算の決め方です。
総予算
住宅ローンを組まれる方であれば、月々の返済額から借入額を決める方法と年収からいくらまで借りられるかを決める方法があります。
月々ですと賃貸にお住まいの方は家賃と比較すると考えやすいのではないでしょうか?またローンは借入限度額というものがありますので、年収から想定すると最大限借りられる予算が分かります。住宅ローンを取り扱っている銀行のほとんどで各社サイト内にてローンシミュレーションを行うことができますで、おおまかな予算を把握することができます。より具体的な数字を知りたい方は一度銀行にご相談されてください。
建物にかかる費用
総予算が決まったら、次は建物にかかる費用です。弊社ではお客様のご要望から、過去の事例をもとにおおよその坪単価をお伝えしています。仮に坪単価100万、家族4人暮らしで少し余裕のある家の広さ32坪だと100×32で3200万円。駐車場やフェンス・植栽など外構工事に200万円とすると建物にかかる費用は3400万円となります。
残りの費用
建物にかかる費用がおおよそつかめたら、諸費用と設計料の想定です。それぞれ建物金額の10%で考えられておくと良いかと思います。土地を購入される方は総予算から建物費用・諸費用・設計料を差し引いた残りが土地代となりますので、その金額に納まる範囲で探すということになります。
総予算を決めて、建物にかかる費用を把握し、残りの金額で土地を探すというのが、おすすめする流れになります。いくら良い土地があっても、住む家が希望通りにならなければきっと後悔してしまいます。
坪単価はあくまで目安
建物の設備や仕様を限定すればするほど坪単価は正確に、逆に自由度が高くなれば坪単価が正確ではなくなります。坪単価は目安としてはある程度必要ですが、自分が必要な広さは要望や提案次第で変わります。依頼して予算に納まるかどうかの不安はあるでしょうが、後悔が残ってしまってはいけません。一生に一度かもしれない大きな買い物なので、ご予算の中で納得のいく提案をしてくれる相手を見つけましょう。
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