
工事費の高騰に伴い、小さな家が注目されています。
住宅着工数の統計(新築・持ち家・一戸建て・木造の場合)を見てみると
| 戸数 (戸) | 一戸あたり面積 (㎡) | (坪) | 一戸当たり工事費 (万円) | 1坪あたり工事費 (万円) | |
| 2020年 | 216491 | 116.82 | 35.3 | 2167 | 62.7 |
| 2024年 | 185295 | 112.30 | 33.9 | 2759 | 82.5 |
政府建築着工統計調査(e-stat)より抜粋
一戸当たりの面積が4年で1.4坪減少し、逆に工事費は1坪あたり20万円も増えています。あくまでも全国平均ですが、こうして数字を目の当たりにすると、買う側も工事をする側も大変な状況が良く分かるのではないでしょうか?
家が小さくなっている理由はいくつか考えられます。
・工事費の問題
・土地の問題
先ほどの表からも分かるように工事費を抑えるのに最も有効なのは面積を減らすことです。家が小さくなった分、人件費や材料費を抑えることができます。次に土地の問題。物件の数自体が減っていることと、土地代の値上がりもあり、土地を確保することが難しくなっています。そのような状況のため、土地を小さく分割して販売するケースが多く、土地に合わせ家もコンパクトになってきています。
こうした状況の中、わたしたちは小さな家で窮屈に暮らさないといけないのでしょうか?いいえそんなことはありません。小さな家=窮屈な家とは限りません。小さな家は大きな家をただ小さくしただけではなく、建築士がしっかりと設計することで、狭さを感じさせず、豊かな暮らしを実現させることができます。また小さいことがメリットになることもあります。
そこで豊かな暮らしができる小さな家のつくり方を紹介していきます。
豊かな暮らしができる小さな家のつくり方
外を感じさせる窓の取り方
小さな家にとって窓の取り方はとても重要なポイントです。
大きな窓をつくり外部を視界に取り込むことで空間に広がりが生まれます。ただし窓の位置には注意が必要です。道路やお隣からの視線・窓から見える風景をきちんと考えておかないと、一日中カーテンを閉めっぱなしになってしまいます。土地の状況によっては建物に囲まれてどこにも窓からの視界が得られない場合もあります。その時は中庭をつくったり、空を見せるように窓をとることで解決できます。

広く感じさせる間取りの工夫

部屋を細かく仕切ってしまうとどうしても狭さを感じてしまいます。家の端から反対の端まで見通せるような距離をつくる工夫をすると広さを感じます。また行き止まりに窓を付けたり壁の高さを工夫したりと視線が抜けるように意識すると良いです。
廊下を減らして部屋を広く
廊下が長ければ長いほど部屋に割ける面積は小さくなってしまいます。廊下をいかに減らせるかがポイントになります。ただどうしても通路は必要なので、通路を部屋の一部に取り込むことができれば広さを感じることにつながります。しかし廊下がないとトイレが丸見えにならないように工夫したり、音の問題に注意が必要です。

〇畳という決めつけをやめる
リビングは〇畳、寝室は〇畳という要望があったとします。しかし小さな家ではその考え方はやめましょう。ではどうするのか。それは置きたい家具をレイアウトして部屋の広さを考えることです。ただしすべての部屋を必要最低限にしてしまうと余裕がなくなってしまいます。そこで、寝室や子供部屋といった個室は小さく、みんなが集まるリビングやダイニングなどメインの部屋をゆったりとつくることおすすめします。

ちいさな家をつくるためのポイントをいくつか紹介しましたが、いずれにしても設計者の能力が試されます。ただ広々としたワンルームをつくっても広さは感じるかもしれませんが、単調であったり落ち着かなかったり、家具の配置が難しいなど住みやすい家とは言いがたいものです。視線の抜ける広さを確保しながら壁を背にした安心感も必要です。土地の状況や住む人の価値観など十分に読み解きながら設計するのです。
小さな家のメリット
小さい家はどんな良いことがあるのでしょうか?メリットをいくつか紹介します。
お手入れが楽
掃除をする範囲が小さくなるため、その分別のことに使える時間が生まれます。また収納するものも厳選されるため、管理が楽になります。将来のメンテナンスも小さい家の方が費用を抑えられます。
冷暖房のエネルギーが少ない
エアコンの数を減らせたり、能力を小さくすることができ、効率が良くなります。またワンルームのような空間にできれば、家の中での温度差が小さくなり、健康に過ごすことにもつながります。
小さくして質を高める
面積が小さければ素材のグレードアップもしやすくなります。塗り壁や無垢材といった少し割高な材料を採用しやすくなり、質の高い空間になります。
周囲との距離・家族との距離
家が小さければそんなに広い土地は必要ありません。また少し余裕のある広さの土地だと周りの家との間に適度な距離をとりやすくなります。密集しているとどうしても、日当たりや風通しが悪く、生活音・臭い・湿気など様々な問題が起こりやすくなってしまいます。家の周りにスペースがあれば、周りを気にせず良い環境で暮らすことが可能になります。

また家の中では家族の距離が近づき、安心感が生まれやすくなります。時には家族がわずらわしく感じ距離を置きたいと思う時期があるかもしれませんので、小さくても一人になれる場所を考えておくことも必要です。
まとめ
小さな家でも工夫次第で豊かに暮らせそうだと少しでも感じていただけたでしょうか?工事費が高騰している状況で小さくても家を建てたいとお考えの方もたくさんいらっしゃると思います。建築士の経験やアイデアで快適で充実した毎日が送れる家が増えることを願っています。これから家づくりをお考えの方にとって少しでもヒントになれば幸いです。
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