しっくいと土壁の家 福岡の戸建てリノベーション事例

今年の2月に始まった戸建てリノベーションが完成しました。
素材にこだわりの強いお客様で家自体は気に入って過ごされていたのですが、生活する中での不便な点、音や寒さの問題などの改善を求めて設計をご依頼いただきました。お悩みに対してリノベーションでどんな解決をしたのかビフォーアフターを交えながら紹介します。

もくじ


家事を楽に!ダイニングキッチン

元々対面キッチンではありましたが、食事をする場所が離れていて配膳や後片付けが大変でした。また暗くて寒いことが悩みで、解決する方法を模索しました。

キッチンにL字型のカウンターテーブルをつくり、配膳と後片付けの距離をなくすことにしました。
また閉鎖的だったキッチンをオープンにすることで明るさと開放感がアップ。


断熱材の入れ替えと床暖房で暖かい家に

寒さ対策として、断熱材の入れ替えと床暖房を採用しました。この家は元々土壁にしっくり塗りが特徴でお客様もそこが気に入って建てられた経緯がありました。なので土壁は壊さずに床と天井の断熱材だけを入れ替えました。また仕上げもしっくいや杉・桧などの無垢材といった自然素材にこだわり、良いところはそのまま引き継ぐ形で計画をしました。


オーダーキッチンで細かい要望に応える

カタチを自由につくれるのが魅力のオーダーキッチン、お客様の要望に細かく応えられることはもちろんですが、現場のカタチに自由に合わせられるのもメリットでリノベーションにこそ向いていると思います。

L字型のカウンターテーブルはお皿がきちんと並べられるように奥行を取り、かつ支えを極力減らしてもらいました。おかげで使い勝手も見た目もすっきりです。
また天板にシンクとコンロで段差を付けました。ビルトインのコンロの場合どうしてもゴトクの分、高くなってしまいます。フライパンが楽に持てるように高さを変えました。
キッチンがオープンになるので食洗機を大きなタイプにし、洗い物をシンクに溜めずに済むようにしました。使い終わった調理器具も食洗機に入れていけばシンクや天板のごちゃごちゃが減らせます。


キッチンの距離と便利なパントリー(食品庫)

以前はコンロ側と背面収納との間が広かったため使いやすい距離感に変更。たった1歩の違いかもしれませんが、積み重なると大きな短縮になります。

キッチンの収納量を増やしたいという要望がありました。吊戸棚は位置が高くて使いづらいかったため、使いやすい高さで背面に設置。さらにキッチン横の広かった階段ホールを半分利用してパントリー(食品庫)をつくることにしました。
必要なものをぱっと見つけやすいようにオープンな棚でたくさん収納できます。新しくつくった壁の一部には有孔ボードを張りました。好きな位置にフックを付けることができるので自由にカスタマイズでき便利な壁です。


ランドリースペースを分けて洗面をすっきり

室内干しのスペースが狭く、雑然とした印象を改善したいというお悩みがありました。そこで部屋を1畳増やして洗面と脱衣室を分け、脱衣室はランドリールームを兼ねることにしました。

洗面と脱衣室の間はカーテンで仕切られるようにして、家族が入浴中でも洗面が使いやすくまた干しているものを隠せるようになりました。また洗濯機と収納の位置を入れ替え、洗濯機がなるべく見えないように計画。すっきりとした印象になりました。
収納鏡の横には造作の可動棚をつくりました。タオルを仕舞う予定で落下防止バーも木製で制作。カーテンやのれんのための棒の受けも大工さんのおかげでシンプルにできました。


タイルがきれいな気持ちの良いトイレ

以前はタイルの床と板張りの腰壁でしたが、タイルは冷たく木の壁はお手入れが大変という悩みがありました。

子供が大きくなり、また立って用を足すこともなくなったため床は部屋と同じフローリングとしました。
腰壁や手洗いの壁はタイル貼りに。カタログを見てサンプルを取り寄せたり、ショールームに足を運んで選んだお気に入りのタイル。悩んだ甲斐があり、きれいな色で空間に馴染んでいます。
収納はカウンターと共に造作でデザインしました。落ち着きのあるすっきりとした印象になりました。


寝室の防音対策

家族が暮らす中で生活の時間がみんな同じというのは珍しいことでしょう。早く寝る人、遅くまで起きていたい人、曜日によっても変わります。寝ている時の家族の生活音が気になる。逆にこちらが出す音がうるさくないか気になる。そんな音に敏感な悩みを和らげる工夫をしました。

リビングとの間に前室として空間をつくりました。つながりたい時は戸を開けて、こもりたい時は戸を閉める。引戸自体も防音対策を施しました。
また窓には両面紙貼りの障子をつくり、防音と断熱性をアップさせました。


これまでリノベーションにおいて、大胆に変化させることが新たな価値を生み、住む人にとって新鮮な気持ちで暮らしをスタートさせることが良いのだと思っているところがありました。中古住宅を購入して新しく暮らす方と、長い間暮らしていた家で再スタートされる方とでは、家に対する思いが違うのだと感じられました。家を建てた時の苦労や、これまでの家族の思い出、ずっと守ってきてくれた家に対して感謝の気持ちなど色んな思いが詰まっています。変えるべきところと変えなくても良いところ、性能や使い勝手だけでなく住む人の思いも大切にしたリノベーションとなりました。

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