どんな家にも必ずついている窓。
窓の役割は大きく3つあります。
明るさ・換気・眺望
・光を取り入れて部屋を明るくすること
・窓を開けて換気や風を通すことで部屋の温度・湿度を調整すること
・そして窓から外の景色を眺めること
窓には家の中と外をつなげてくれる大切な役割があります。
でも窓の種類や大きさ、取り付ける位置によって効果が全く違います。
今回は快適に過ごすために窓にはどんな種類があり、それぞれどんな特徴があるのかを解説します。
私たち設計者がどんなことを考えながら窓を選択しているのか、
これからの家づくりの参考にしてください。
- 窓の種類と特徴
- 窓のタイプによる比較
- 風の通しやすさ
- ガラスの掃除について
- 網戸の位置
- 台風対策
- 窓配置のテクニック
- 風の通り道
- 窓の高さ
- 明るい部屋にするには
- 窓の日除け対策
- まとめ
窓の種類と特徴
窓の素材としてアルミ・鉄・木・樹脂などがありますが、
ここでは一般的なアルミサッシについて説明していきます。
窓にはいろんな形や開き方があります。
それぞれどんな特徴があるのでしょうか。
引違い窓
横にスライドするタイプの窓
外に出られるように窓下が床に接している窓を特に掃き出し窓と呼びます
大きな窓から小さな窓まで大きさの自由度が高いスタンダードな窓です
雨戸やシャッター・格子などとの相性が一番良いのも特徴です
横すべり出し窓
窓上の横軸で外に開く窓
雨が入りにくく、家の外から室内が見えにくい形状のため、浴室・トイレ・洗面など水まわりで良く使われます
手の届かない場所につける場合、高所用タイプがあり、リモコンやチェーンで開閉できます
縦すべり出し窓
窓の両サイドどちらかの縦軸で外に開く窓
ウインドウキャッチャーとも呼ばれ、風を室内に呼び込みやすい形状です
上げ下げ窓
下の窓が上下にスライドする窓
引違いよりも小さく、縦長の窓で良く使われます
格子が付けられるのも特徴です
FIX(フィックス)窓
開かないタイプの窓で、はめ殺し窓とも呼ばれます
縦長や横長、大きな窓小さな窓など、空間のデザインに合わせやすい窓です
台形や丸といった特殊な形もあります
窓のタイプによる比較
窓のタイプによる違いを表にまとめました。
引違い窓 | 縦すべり窓 | 横すべり窓 | 上げ下げ窓 | FIX窓 | |
風通し | 〇 | ◎ | △ | 〇 | × |
ガラスの掃除 | 〇 | ◎ | 〇 | △ | × |
網戸の位置 | 外 | 内 | 内 | 外 | - |
台風対策 | ◎ | × | × | 〇 | 〇 |
風の通しやすさ
風通しを考えると風の流れをスムーズにつくれる縦すべり出し窓が1番です。大きく窓を開けられないシーンで換気や風通しがほしいならこの窓を選択しましょう。
引違い窓は窓の面積が大きいため、その分風の量が多くなります。
風通しに関しては風の入口出口や窓の大きさ・位置も大切な要素です。横すべり出しでも取り付ける高さを工夫することで風を通しやすくなることもあります。
ガラスの掃除について
窓ガラスの外側は汚れやすく、拭き掃除が必要ですが、ここにも窓の違いが関係します。
縦すべり出し窓が最も掃除がしやすく、引違い・横すべり出しはサイズや取付高さによっては室内から手が届きにくいことがあります。
どうしても掃除がしづらい窓はすりガラスなどの汚れが目立たないガラスを選ぶことも方法の一つです。
網戸の位置
網戸が窓ガラスの内側にあるか外側にあるか各タイプで異なります。
外に開くタイプは内側にスライドするタイプは外側になります。
すべり出し窓は窓を閉めた時に網戸が常に室内にある状態になります。網戸は汚れが付きやすいので気になる方は小まめな掃除が必要な点に注意です。
また同じくすべり出し窓の網戸には固定式とロール式の2種類があります。
ロール式はロールスクリーンのように横からシュッと伸ばして開け閉めができます。
ただし取外しができないため掃除がしにくいのが欠点です。
台風対策
九州は特に台風がほぼ毎年来るため、対策が必要です。飛来物からガラスを守るにはシャッターや雨戸で防ぐことになりますが、引違い窓ならどちらも取付ができます。上げ下げ窓とFIX窓は電動シャッターであれば取付が可能です。
窓配置のテクニック
窓を取り付ける位置で、得られる効果が変わります。
テクニックとしていくつか紹介します。
風の通り道
部屋の中に上手く風を通すには入口と出口が必要です。
さらに部屋の中で人がいる場所に風の通り道がくることも大切です。
上の図は窓の配置と風の流れを表したものです。
左側は部屋の隅を流れるのに対し、右側は部屋の真ん中を流れています。
実際の風の流れはこう単純なものではありませんが、
風の通り道を意識した窓配置を考えましょう
窓の高さ
窓の取り付ける高さによって生まれる風の流れもあります。
空気は冷たいところから温かいところに移動するという性質を利用した窓配置です。
吹き抜けや天窓をつくるともっと効率的です。
低い位置の窓を地窓、高い位置の窓をハイサイドライトと呼びます。
地窓は床で寝る時に体に風を受けやすいので和室や畳の部屋に有効です。
またハイサイドライトはお隣や道路からの視線が気になる場合や防犯対策としても有効です。
明るい部屋にするには
細長い窓はデザイン的に良く使われる窓です。縦長・横長ありますが、部屋を明るくしたいなら高い位置の横長が有効です。ただし高い位置の場合は窓掃除が大変なので注意が必要です。
逆に縦長は部屋の明暗ができるため、より印象的な空間となります。また部屋を広く感じさせる効果もあります。ただし、家具配置が制限されるので注意が必要です。
窓の日除け対策
風通しや部屋の明るさを考えると大きな窓をたくさんつけたくなるところです。
しかし、日除けを考えておかないと夏場は暑くて大変です。エアコンへの負担、電気代を考えると日射をいかに遮るかが大切になります。
南側の場合は屋根(軒の出)を深くし、窓が日影になるようにします。
その他外付けのブラインドをつけたり、スダレやタープで手軽に日除けをする方法もあります。
東と西側の窓については日差しが真横から射すので、屋根や庇では防げません。
格子やブラインドなどで防いだり、日射を反射させるガラス(Low-Eガラス)での対策が必要です。
窓の計画として南側は大きく、東西は小さくするのが一般的ですが、周りの環境や景色の良い方向などで東西に大きく開く場合は日除け対策を十分にしましょう。
まとめ
窓を計画する時には一つ一つに景色・外の状況・風通し・明るさ・お手入れ・室内と外観のデザインなど考えることがたくさんあることがお分かりいただけたと思います。
その中でどれを優先するのか、場所によって非常に悩むこともあります。
これから家づくりをされる方はぜひ窓の特徴を理解して、快適に過ごすための窓選びをしてみてはいかがでしょうか?
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