長く住んでいると劣化や汚れが気になったり、ライフスタイルの変化に合わなくなったりといろいろ問題が出てきます。そんな時、間取りや性能を新しく変えるリノベーションという方法があります。
新しく変えたいという要望の中で特に床は大きく関わっています。
そこで床の種類やフローリングの特徴など、施工例を紹介しながら説明します。
目次
- 床のリノベーションを考えるタイミング
- 床リノベーションの工法の種類
- リノベーション時の床材の種類
- リノベーションに使われるフローリングの種類
- 床(フローリング)に使う塗装の種類
- 床材の自然素材と○○調の素材の違い
- 床材を変化させたリノベーションの施工例
- まとめ
床のリノベーションを考えるタイミング
まずはどんな理由で床を新しくしたいと思うのか整理してみます。
・見た目の問題:汚れ、傷
・構造や性能の問題:きしみ 沈み 傾き 断熱性
・使い勝手の問題:和室から洋室に変えたい
大きく3つに分類しました。問題の種類によって工事の内容が変わってきます。
ではどういった工事が必要になるのか説明します。
床リノベーションの工法の種類
床を新しくするための方法は2種類です。それぞれメリットデメリットがあります。
重ね張り
今の床の上から新しい床を重ねて張る方法です。コストを抑えられるというメリットがありますが、工事範囲が一部の場合は工事していない部屋と段差ができてしまいます。また床が1センチくらい高くなることでドアや引き戸の調整が必要になってくるので注意が必要です。
見た目の問題を解消するためなら、最適な工法です。
張り替え
床を下地から交換する方法です。構造的な問題を解決する場合は最適な工法です。断熱材を入れる工事もしやすくなります。デメリットとしては工期がかかることと廃材処理・大工手間・下地などの材料費が加わるため、コストアップになることです。
畳をフローリングに変える場合
構造的な問題がなければ、畳を撤去してその厚み(5~6センチ)の中で、
下地を入れフローリングを張ることができます。
では次にリノベーションをする際に床材にはどんな種類があるか説明します。
リノベーション時の床材の種類
フローリング
最も一般的な床がフローリングです。見た目や素材も様々で好みによって色んな選択肢があります。フローリングの中にも種類がありますが、後程説明します。
畳
日本で昔から使われ続けている畳です。本来はイ草でつくられていますが、色あせや表面のこすれが気になる場合は和紙畳という商品もあります。床の間や仏間をつくる機会は少なくなりましたが、畳のスペースがほしいという要望はまだ多くあります。
交換のしやすさはNo1です。畳の交換や表替えなど簡単に新しくすることができるのがメリットです。
タイル
水や汚れに強いのがタイルの特徴です。玄関やキッチン・洗面所など濡れやすい場所に良く使われます。フローリングに比べるとややコストアップになりますが、耐久性は高いです。
モルタル
基本的には土間の床で使う仕上げです。玄関に使うことが多いですが、リノベーションでリビングの一部をモルタルの土間にすることもあります。薪ストーブやペットの居場所としてモルタルの土間は最適です。
デメリットとしてはひび割れと寒さです。
ひび割れは性質上仕方がないのですが、寒さは断熱材を入れることで和らげることができます。
カーペット
継ぎ目のないロールカーペットと分割されたタイルカーペットがあります。
クッション性が高く、足が疲れにくいためオフィスなどでよく使われます。
ビニル床シート
シート系の床材です。水に強く、色柄も様々なものがあります。特にクッションフロアは弾力性があり、小さな子供や高齢者のいる家庭では使い勝手が良い素材です。最近ではDIYで古い床の上に重ねて貼ることもでき、簡単に雰囲気を変えたり、新しくすることができます。
では最も一般的なフローリングについて詳しく説明していきます。
リノベーションに使われるフローリングの種類
フローリングには大きく分けて2種類あります。
左側が複合フローリング、右側が無垢フローリングです。
複合フローリング
見えている木目は表面の数ミリで、その下の合板と接着されたフローリングです。
表面の木の厚みで値段が変わってきます。挽板(ひきいた)と呼ばれる2~3ミリのものや突板(つきいた)と呼ばれる1ミリ以下のものがあります。さらに安価のものでは木目調のシートを貼ったタイプもあります。
メリット
幅の広いものや継ぎ目がないものが低コストで手に入ります。
また下地が合板なので、ゆがみや伸縮が少なく安定しています。
デメリット
表面の木が薄いため、深い傷がつくと下地が見えてしまいます。
シート系のフローリングでは特に同じパターンの繰り返しになるため、
全体的に単調な印象になります。
無垢フローリング
全体が一つの素材でできているフローリングです。長さ方向でつなぎ目があるものもあります。
メリット
無垢材ならではの香りや感触、クッション性、調湿機能など木が持つ性能を一番発揮できます。
木の厚みによる深みや木目の美しさが楽しめます。
デメリット
湿気を吸放出するため、ゆがみやスキマができる場合があります。ほとんどの場合は数年で落ち着きます。また木の種類によってはとても高級なものもあります。一般的には色が濃くて固い木ほど希少なため、値段が高くなります。
ではお手入れに関することはどうでしょうか?塗装の種類について詳しく説明します。
床(フローリング)に使う塗装の種類
フローリングの塗装には大きく分けて2種類あります。
浸透するタイプ:オイル系・ワックス系
表面に膜をつくるタイプ:ウレタン塗装・UV塗装
塗装の種類はフローリングの種類とも関係があります。
浸透するタイプ
水をはじく油分をフローリングに浸み込ませるため、さらっとしたマットな仕上がりになります。
メリット
木の質感や性能を生かした塗装です。
塗り重ねができるためメンテナンスが可能です。
デメリット
水分や汚れを放置してしまうとシミができます。また数年おきに塗り重ねが必要になります。
無垢フローリングや挽板の複合フローリングに向いています。
木、本来の質感や風合いを楽しみたい方はおすすめです。
膜をつくるタイプ
フローリングの表面をコーティングして守るタイプです。
車いすにも対応している商品や抗菌作用のあるものもあります。ツヤのあるものが多いです。
メリット
汚れに強く、お手入れが楽です。
傷に強いタイプもあります。
光沢があるため、きれいさが長く続きます。
デメリット
傷がつくと白く目立ちます。
木の質感や機能は覆われてしまうためなくなります。簡単に塗り替えができません。
メンテナンスを全くしたくない方や光沢のある見た目が好きな方におすすめです。
床材の自然素材と○○調の素材の違い
無垢のフローリングの本物の木目は一枚一枚違い、自然な色むらがあります。シート系のフローリングや木目調やタイル調のクッションフロアなどは印刷されたものなので、同じパターンの繰り返しになります。狭い範囲で見る分にはきれいだと思いますが、広い範囲で見ると色むらがないため、単調できれいすぎる印象になります。これは人それぞれだと思いますが、私は自然な色むらがある床の方がナチュラルで温かみのある雰囲気になると思います。
床材を変化させたリノベーションの施工例
実際に行った床のリノベーションをビフォーアフターの写真で紹介します。
畳と板張りからフローリングに
床仕上げ:ナラ無垢フローリング 幅150㎜ 厚み18㎜ クリアオイル塗装
工事内容:床張り替え+断熱材
床仕上げ:アカシア無垢フローリング 幅120㎜ 厚み15㎜ クリアオイル塗装
工事内容:床張り替え+断熱材
タイルからフローリングに
床仕上げ:レッドパイン無垢フローリング 幅120㎜ 厚み15㎜ 蜜蝋ワックス塗装
工事内容:床張り替え+断熱材
タイルからモルタルに
床仕上げ:モルタル 金コテ仕上げ 防塵塗装クリア
工事内容:重ね塗り
まとめ
床材は空間の雰囲気をつくる大きな要素です。色味や柄・幅だけでなく、質感も大切です。またフローリングといっても無垢と複合の違いや塗装の種類など工事の前にしっかりと違いを理解して選びましょう。
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